学部?研究科?附属病院の歴史
学部?研究科?附属病院の歴史
休日に自宅で寛いでいた私に息子が話しかけてきた。「お母さん、文章を頼みたいんだけれど???」息子は私が仕事をしながら育ててきた為か何でも自分でする癖がついていて滅多に頼み事をしない。ただ、私は文章を書くのが苦手である。出来る事なら断りたいと思い、ちゃんと返事をしなかった。が、数日経った後、今後は「ペアレンツカミングデーについて書いて欲しい」と再度、息子より依頼された。だからいいよと返事をしてしまった。上手く書く自信はないが、頑張ってみようと思いペンを手に取った。
息子が学部生の頃、名市大薬学部からペアレンツカミングデーの開催案内が届いた。内容は先生方と在学生の講演?学食体験?校内見学とある。私は名市大薬学部卒業生であったが、私の在学中の名市大薬学部のイメージとは違う当時にはなかった企画に驚いた。この頃、名市大薬学部は建物や敷地が新しく改築され、私たちの頃に通っていた時のとても古い研究棟と比べると新築高級マンションといった感じの綺麗な研究棟に変わっていた。私が学生の頃の研究棟は北側に立てられ暗くて肌寒い印象であった。とても古い建物で廊下のタイルは剥がれ1つしかないエレベーターはギシギシと音を立てていた。誤解がないように言うなら研究室の中は活気に溢れ毎日楽しく研究を続けていた記憶がある。
毎年参加している卒後教育で宮田専治記念ホールのある講義棟には何度か入ったことがあるが、新しい研究棟には入ったことがなかった。そのため、ペアレンツカミングデーの研究棟の見学ツアーという項目に引かれ是非参加したいと思い、お昼ご飯が食べれると言うことで主人も誘って2人で参加した。ペアレンツカミングデー当日は素晴らしい講演を聴き、カフェテリアというモダンなところで美味しい学食を食べた。その後の研究棟見学ツアーは学生が案内してくれた。ピカピカのフロアー、明るい階段、設備の整った研究室。想像通り素晴らしかった。ツアーを案内してくれる学生に「私は卒業生だからあの北側の棟で研究してたんだよ。」と話しかけると「えー、あのお化け屋敷でですか?」と返され笑い出してしまった。
その数年後に名市大薬学部で学会があり、東京に住んでいた薬学部の同級生が卒業後初めて名市大薬学部を訪れるというので息子に研究棟を案内してもらうように頼んでみた。この時に博士課程で研究している方がご自身の研究を私たちに分かりやすく説明してくれた。その話を聞きながら設備が古くても新しくなっても名市大薬学部の研究魂は昔も今も変わらないと強く感じた。
息子は今、名市大薬学部の博士課程になり6年ではなく10年も名市大にお世話になっている。この素晴らしい大学で更に羽ばたいていって欲しいと思う。
ペアレンツカミングデー企画をしてくださった名市大薬学部先生方に感謝の気持ちを伝えたいと思う。
稲垣 量子(昭和59年卒)