慢性看護学
慢性疾患患者?がん患者やその家族を対象に看護援助を検討しています。
所属教員
所属教員一覧
(足球彩票6年9月1日現在)
(足球彩票6年9月1日現在)
慢性看護学領域とは
慢性看護学の対象は、慢性疾患をもつ方、つまり糖尿病、心不全、慢性腎臓病、脳卒中、呼吸器疾患、神経難病、さらにがんなど、長期間にわたり病気とつきあいながら生活していく必要のある方とその家族です。これらの慢性疾患は完治を目指すことが難しく、日常生活において生活習慣の調整や継続的なセルフモニタリング、医療との継続的な関わりなどを通じて「病気と共に生きる」必要があります。さらに、日本では高齢社会がすすむ中、慢性疾患を抱える方は年々増加しています。たとえば、糖尿病患者は約1,000万人、高血圧症の人は約4,300万人、がんも2人に1人が生涯のうちに経験すると言われているように、慢性疾患は誰にとっても身近な課題となっています。
このような背景から、慢性疾患を抱える方への看護では、単に病気の治療を支援するだけでなく、病気があってもその人らしく生きることを実現するための支援が重要となります。すなわち、その方が病気と向き合い自己管理能力を高めるための支援に加え、生活環境の工夫、心のケア、社会的なサポートなど多角的なアプローチが求められます。
そのためには、病とともに生きる方一人ひとりの価値観や生き方に寄り添い、継続的な関わりの中でその人らしさや可能性を引き出すことが重要です。これが慢性看護学の大きな魅力です。急性期医療とは異なり、人の生活そのものに深く関われることが大きなやりがいにつながります。
研究室紹介
研究室の様子をより詳しく知りたい方は 慢性看護学独自HP をご覧ください。
特徴
研究室では、脳血管疾患、腎臓病、心臓病、糖尿病、神経難病、がんに関する研究に力を入れています。また、脳卒中リハビリテーション看護認定看護師や透析看護認定看護師の資格を持つ教員が在籍しています。さらに、がん看護専門看護師資格を持つ方が臨床教員として在籍しています。このように、研究力だけでなく実践力のある教員をそろえていることが当研究室の強みです。
教員の研究テーマをご紹介します。
安東 由佳子教授(桜山205研究室)
- 慢性疾患患者のセルフマネジメント,セルフケアに関する研究
- 慢性疾患患者の意思決定に関する研究
- 慢性疾患をもつ高齢者のケアに関する研究
- 慢性疾患患者の退院支援に関する研究
- 看護職のストレスマネジメントやバーンアウトに関する研究
- 看護職や看護学生のキャリア教育に関する研究
横井 靖子講師(桜山507研究室)
- 脳卒中後の回復支援に関する研究
- 急性期脳卒中患者への降圧剤持続投与による静脈炎発生に関する研究
- 脳卒中患者への緩和ケアに関する研究
飯田 美沙講師(桜山207研究室)
- 腎臓病領域における治療選択の意思決定支援に関する研究
- 慢性腎臓病の保存期にある患者の療養生活支援に関する研究
都築 亜美特任助教(桜山215研究室)
- ALS患者の病状説明に関わる看護師に関する研究
現在、慢性看護学研究室では、パーキンソン病患者さんを対象に、和太鼓を使った運動の効果検証に取り組んでいます。
その様子がテレビや新聞で紹介されました。
その様子がテレビや新聞で紹介されました。
在籍者
現在、研究室には博士前期課程?博士後期課程の院生や研究員、併せて7名が在籍しています。院生の背景は、看護師(慢性心不全看護認定看護師、透析看護認定看護師)や大学教員など様々です。そして、研究室の雰囲気はとても穏やかで協力的です。不定期で開催されるゼミでは、お互いの意見を尊重しつつ、建設的な意見交換が活発に行われています。それぞれ所属や専門など背景は異なりますが、学びあい、そして支えあいながら研究に取り組んでいます。
大学院生募集
現在、慢性疾患と共に生きる人々の生活を支えるためにどのような看護ができるかを一緒に考え、探究していく仲間を募集しています。
研究室では、大学院生一人ひとりの関心や経験を大切にしながら、研究テーマをともに深めていくことを大切にしています。テーマは、生活習慣病やがん、神経難病などの慢性疾患をもつ方や、その家族を対象に、QOL(生活の質)の維持?向上をめざした支援方法を中心に広がっています。実践に基づいた問いを出発点とし、臨床で活かせる看護の知を一緒に築いていきましょう。
大学院を目指す理由は人それぞれです。「臨床での問いを明らかにしたい」「もう一度じっくり学び直したい」「ケアの根拠を明らかにしたい」「自分の看護を言葉にして、次の世代につなげたい」。どんな想いも、ここでは大切な原動力になります。私たちと一緒に、慢性疾患とともに生きる人々を支える看護の在り方を探していきましょう。慢性看護学に関する看護研究に関心のある方、また、研究に自信がないけれど一歩踏み出してみたいという方も、どうぞお気軽にご相談ください。
(連絡先)安東由佳子 yukakoa[at]med.nagoya-cu.ac.jp 注)宛先入力の際は[at]を半角文字の" @ "に変換してください
教育内容紹介
● 学部教育
慢性看護学領域では、慢性疾患を持つ人の特徴を理解し生涯にわたりセルフマネジメントができるように支援する看護を学ぶことを目的に、講義?演習?実習を担当しています。2年次には「看護学概論Ⅱ」「セルフマネジメント看護論」「セルフマネジメント看護援助論」、3年次前期には「リハビリテーション看護論」「看護演習」の講義?演習を行っています。さらに、緩和ケアを必要とする対象の全人的苦痛を理解し、苦痛の緩和とQOL向上に向けた看護を学ぶことを目的に「緩和ケア看護論」の講義を行っています。
3年次後期には、慢性疾患を持つ患者に対して対象者の心身の状況に応じたセルフマネジメント支援や緩和ケア、QOLの充実に向けた看護援助を学ぶことを目的に「慢性期看護学実習」を担当しています。学生にとって病院という不慣れな環境での実習が実り多いものとなるよう、教員は学生個別のサポートや、病棟?看護部との調整を行っています。実習を終えた学生から次のような声が届いています。
? 一番基本に近い流れで看護過程を展開できた。
? 教員と病棟指導者さんとが連携を取ってケアに参画できるよう調整してくれた。
? 教員からの助言を受けて必要な情報やケア内容を整理でき、個別性を意識した看護計画を立案できた。
? 記録が多いと思っていたが、負担感はなく順調に進めることができた。
? 困ったことは学生や教員に相談しながら、受け持ち患者に一生懸命向き合うことができた。とても充実した実習だった。
? 一番基本に近い流れで看護過程を展開できた。
? 教員と病棟指導者さんとが連携を取ってケアに参画できるよう調整してくれた。
? 教員からの助言を受けて必要な情報やケア内容を整理でき、個別性を意識した看護計画を立案できた。
? 記録が多いと思っていたが、負担感はなく順調に進めることができた。
? 困ったことは学生や教員に相談しながら、受け持ち患者に一生懸命向き合うことができた。とても充実した実習だった。
3~4年次に取り組む看護研究では、学生が自分の興味?関心に沿ったテーマを設定し、文献調査やフィールド調査を通して課題を深く掘り下げる力を養うよう支援しています。看護研究を通して、慢性疾患やがんの患者さんとその家族を支える専門的な力を身につけ、社会で活躍できる力を養うことができます。
● 大学院教育
博士前期課程では、慢性看護学で重要な概念(ACP、症状マネジメント、意思決定、エンパワメント、スティグマ、行動変容、障害受容など)を学びながら、研究の一連のプロセスを指導教員とともに辿ります。慢性看護学の研究に必要な基本的知識の獲得と研究の楽しさを感じられることを目指して指導をしています。博士後期課程では、指導教員の助言を得ながら研究の一連のプロセスを学生自らが主体的に進めていきます。最終的に、研究者として独力で研究に取り組める能力が身に付くように指導しています。さらに、院生の研究費獲得支援、学会発表や論文化への支援も積極的に行っています。
大学院教育、研究室の様子をより詳しく知りたい方は 慢性看護学独自HP をご覧ください。
研究内容紹介
● 学部教育
学部生がこれまでに看護研究で取り組んだ研究テーマを紹介します。
- 婦人科がん患者に対する看護師による性生活指導の実態~手術療法?放射線療法?化学療法別の比較~
- 看護師が感じているがん性疼痛に対する心理的支援の困難性
- 2型糖尿病患者におけるピアからのサポートと自己管理の関連
- 高次脳機能障害を呈した成人の脳卒中患者に有効な復職支援についての文献レビュー
- 独居慢性心不全患者の退院後の生活に対する効果的な食事指導に関する研究
● 大学院教育
大学院生の主な研究テーマを紹介します。
- 外来通院中の初発軽症脳梗塞患者における再発予防に向けた自己管理行動の関連要因
- 高齢糖尿病患者を対象とした足病変の発症を予防する看護教育プログラムの有効性の検討
- 腎代替療法選択支援における共同意思決定(SDM)の実態と関連要因
- 訪問看護師を対象とした高齢者の難聴ケア教育プログラムの開発