生薬学
スタッフ
牧野 利明
[教授]
石内勘一郎
[准教授]
寺坂和祥
[講師]
教育?研究
- 生薬、漢方薬、天然素材に関する医療薬学的研究
- 各種疾患への応用を指向した伝統薬物(漢方薬)の有用性評価と作用機序
- 未利用天然資源を素材とする生物機能物質の探索とその創薬への応用
- 植物および糸状菌の二次代謝機能の遺伝子制御と有用物質生産
- ゲノム情報に基づく薬用資源植物の多様性の解析とその生薬評価への応用
研究概要
1) 臨床生薬学?臨床漢方薬理学
現代医学で治りにくい生活習慣病、慢性疾患などに対する漢方薬の有用性が高まってきています。私たちは、漢方薬について実験動物を使用した病態モデルを用いてその有用性に関する基礎薬理学的なエビデンスや、副作用のメカニズムについて研究をしています。 さらに、実際に医療現場で漢方薬を使用、また現代医学と併用するにあたり、漢方薬の成分の体内動態や西洋薬との医薬品相互作用などの医薬品情報も不足しています。私たちは、医療現場で漢方薬に関するDrug Information (DI) 活動のための基礎データを得る研究も行っています。
図1 甘草による副作用、偽アルドステロン症の真の原因物質の探索
(Sci. Rep. 2018; Sci. Rep. 2019; Frontiers Pharmacol. 2021; Drug Metab. Dispos. 2024)
2) 植物細胞分子生物学と代謝工学
植物由来の生薬の有効成分の多くは、二次代謝系により生産される天然有機化合物群で、医薬品原料や化粧品、機能性食品素材などに応用されています。これらの有効利用のため、私たちは特徴的な生合成系を理解し、物質生産へとつなげるための研究を行っています。
図2 黄色色素クロシンを含む植物 (クチナシ、サフラン) と生合成に関わる配糖化酵素
UGT75L6: Crocetin配糖化酵素、UGT94E5: Crocetin配糖体糖鎖伸長酵素
3) 天然物化学および合成生物学
天然物化学は、生物活性天然物の単離構造決定ならびに生合成研究を主体とする創薬科学の原点です。当分野では、遺伝子工学的手法により糸状菌の潜在的な生合成能力を引き出すことで、新規化合物を創出し、様々な生物活性スクリーニングに供する独自の化合物ライブラリー構築を進めています。また植物内生糸状菌を活用し、宿主植物由来の稀少有用物質に関する生合成研究の加速化を目指しており、これら有用天然物の生合成遺伝子を自在に操ることで、微生物による環境低負荷型の大量物質生産を実現する合成生物学的研究に取り組んでいます。
図3 アルツハイマー型認知症改善薬候補である植物由来成分を生産する内生糸状菌
(J. Nat. Prod. 2018)
4) 天然薬物素材の品質管理学
天然資源を基原とする素材は、生薬や漢方薬としてだけでなく、「健康食品」等としても幅広く使用されています。しかし、それらを正しく用いるためには、その基原となる動植物の真偽の鑑別と最終製品における品質の保持が求められます。私たちは、従来の含有化学成分を指標とする品質評価方法に加え、植物固有の遺伝子を用いてそれを鑑別する方法の開発を試み、その有用性を提唱しています。
図4 ホソバオケラ
生薬名:蒼朮 / 用部:根茎 / 薬能:芳香化湿、燥湿健脾
連絡先
〒467-8603 名古屋市瑞穂区田辺通3-1
足球彩票 大学院薬学研究科医療機能薬学専攻
生薬学分野
E-mail:makino<at>phar.nagoya-cu.ac.jp
TEL & FAX:052-836-3416
薬学研究科広報委員会
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