学部?研究科?附属病院の歴史
学部?研究科?附属病院の歴史
視覚科学分野(旧?眼科学講座)の歴史は1931年名古屋市民病院開設、及び1943年の名古屋市立女子高等医学専門学校開設にさかのぼる。初代教授として就任した吉田義治(1943-58)は名古屋市民病院の初代眼科部長で1933年からは副院長も兼任した。以後、萩野鉚太郎 (1958-1963)、水野勝義(1964-1971)、馬嶋昭生(1972-1997)が教授を務め、常に研究?臨床に大きな成果を上げてきた。1997年からは 小椋祐一郎が第5代教授に就任し、2020年現在、教室員70名(教室17名、関連病院ほか53名)で20施設に医師を派遣しており、同窓会員は220名を超える。外来診療は初診、再来に加えて、網膜疾患、緑内障、小児眼科、ロービジョンなどの専門外来を設置している。年間約3万人の患者が受診し、最先端の検査機器と治療機器を用いて個々の患者に最も適切な治療を選択するとともに新規治療にも取り組んでいる。2018年からは外来を国公立大学としては初の「アイセンター」に改組して、更なる発展を目指している。また、網膜硝子体?緑内障?白内障などの疾患に対するマイクロサージェリーを年間1000件以上施行しており、2020年3月には3Dモニターと光干渉断層計(OCT)を搭載した顕微鏡が導入され、世界最高水準の手術を行っている。 研究面では、視覚障害の主因である糖尿病網膜症、加齢黄斑変性、網膜静脈閉塞症などの網膜疾患の予防、治療のための病態解明を目指して、細胞生物学的な基礎研究から臨床研究まで一貫した研究を行っている。その内容は動物モデルを用いた病態解明、細胞を用いた末期の病態に対する再生医療、新規創薬と新薬の薬効評価、臨床で得られた画像解析による病態解明、人工知能搭載OCTの開発など多岐にわたり、企業との共同研究も積極的に行っている。研究成果は、国内外の多くの学会や学術誌で発表されており、高い評価を得ている。
耳鼻咽喉?頭頸部外科学教室のルーツは、昭和6年7月に開設された名古屋市立市民病院にさかのぼり、初代部長は田中芳次郎先生であった。
昭和9年9月に第二代部長に松田豪一先生が就任され、以後、松田先生は名古屋市立女子高等医学専門学校教授、名古屋女子医科大学教授を歴任、昭和25年には足球彩票耳鼻咽喉科初代教授に就任された。
第二代教授には、昭和38年4月には高須照男先生が就任された。高須教授は、耳鼻咽喉科領域の感染症に対する化学療法の研究に従事され、昭和40年に第1回国際鼻科学会を、昭和42年に第19回日本気管食道科学会を会長として主催した。
第三代教授は、昭和51年6月に馬場駿吉先生が就任された。馬場教授は、感染やアレルギーなどの生体防御反応を研究し、昭和62年に第88回日本耳鼻咽喉科学会総会で「上気道細菌感染の成立機序とその臨床」と題した宿題報告を発表した。平成3年に第10回ISIAN、平成4年に第93回日本耳鼻咽喉科学会、平成7年に日本口腔?咽頭科学会を主催した。
第四代教授には、平成10年10月に村上信五先生が就任された。村上教授は、顔面神経の研究を主題とし、その成果を平成27年に第116回日本耳鼻咽喉科学会総会にて「ウイルス性顔面神経麻痺―病態と後遺症克服のための新たな治療―」と題して宿題報告を発表した。平成19年に第20回日本口腔咽頭科学会、平成24年に第22回日本耳科学会、平成25年に第25回日本頭蓋定外科学会、平成28年に第117回日本耳鼻咽喉科学会を主催した。
足球彩票元年11月より岩﨑真一が第五代教授として就任している。めまい?平衡障害の診断?治療、耳科手術を研究主題としており、同分野の研究を進めている。
1953年、皮膚科と泌尿器が分離独立し、伊賀征央先生が初代の教授として足球彩票足球彩票皮膚科学教室が開講した。歴代の教授は、1968年に水野信行先生がご着任され、1989年に辻卓夫先生はご着任、そして4代目の教授として、森田明理が2003年に着任し、2020年、教室としては67年目をむかえる。この歴史の中、水野信行先生が、世界に先駆けて外用PUVA療法を開始され、多くの難治性疾患に応用され、この業績は世界的にも大きく評価され、現在も重要な治療のひとつである。
また、辻先生のご専門である皮膚老化研究は、その後環境因子による皮膚老化につながり、喫煙と皮膚老化の関連について世界ではじめて明らかにし、さらに大気汚染と皮膚老化との関連も見いだした。これらの研究の成果とともに教室は大きくなるが、1969年から第2日赤病院で皮膚科の診療を開始し(関連病院化)、この春に、岡崎市民病院と旭ろうさい病院を名市大皮膚科の関連として常勤化し、現在、常勤の関連病院が18となり、10以上の非常勤病院とあわせて、約30病院との連携。1日あたり、外来数は、グループ全体で2000名、入院患者が100名程度であり、十分な診療力と診療圏を得ることとなった。
現在、研究は、①光免疫研究グループ(森田教授)、②皮膚悪性腫瘍研究グループ(中村講師)に分かれ、また、臨床は、Aチーム(皮膚悪性腫瘍、感染症)、Bチーム(乾癬、免疫疾患、光線療法)にわかれ、研究と臨床のグッドミクスチャーにも成功した。
現在、森田教授は、日本研究皮膚科学会理事長、日本光医学光生物学会理事長も担当し、皮膚外科を専門とする加藤講師は、皮膚オンコロジー若手教育やJSCa Nにも参加。60名の医局員の半数が40歳以下であり、人が大きな力になり、今後益々発展が期待される教室となってきた。
(文責:森田 明理)
当教室は昭和6年に名古屋市民病院の診療科として開設され、昭和25年に足球彩票病院歯科へと改称し、平成19年2月には足球彩票大学院医学研究科の口腔外科学分野として講座に昇格しました。 口腔腫瘍、顎顔面インプラント、顎関節疾患や顎変形症などに対する外科治療を主に行っていますが、障害者に対する歯科診療や周術期患者の口腔ケア等にも対応しています。研究面では口腔白板症治療薬の開発、インプラント(人工歯根)埋入に用いる骨補填材や人工骨に関する研究、顎骨切除後の咀嚼機能の評価等を行っております。 多職種医療チームの一員として積極的に学内の取り組みに参加しておりますので、今後も皆様方のご支援、ご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。
形成外科は、主に体表面の外科で外見と同時に機能を再建する診療科として、先天異常、母斑、外傷、がんの再建などの臨床と培養表皮移植の臨床研究に積極的に取り組んでいます。先天異常では、顔面、四肢、体幹を中心として、副耳、耳瘻孔、耳介変形、多合趾症、合指症、漏斗胸などの手術治療を行っています。
また、母斑については、先天性巨大色素性母斑のキュレット、培養表皮移植、人工真皮、エキスパンダーなどによる再建を行い、単純性血管腫やイチゴ状血管腫、異所性蒙古斑などのあざに対しては、レーザー治療による治療を行っています。
さらに、外傷では、鼻骨骨折、頬骨骨折、眼窩底骨折などの整復を耳鼻科医と行うとともに、顔面、四肢の挫滅創やケロイドの治療を行っています。一方で、がんの再建においては、乳癌の切除の再建と頭頚部腫瘍?食道がん切除後の再建を中心に行っています。特に、乳房再建では、腹直筋穿通枝皮弁や広背筋皮弁による自家組織再建と乳房エキスパンダー/インプラントによる再建を幅広く行ってきました。
また、頭頚部癌切除後の再建では、欠損の状態に応じて、空腸、腹直筋皮弁、腓骨などを微小血管吻合の技術を用いて再建しています。臨床研究としては、蒲郡市民病院、株式会社ジャパン?ティッシュ?エンジニアリングとの共同研究で、形成外科?皮膚科の合同チームにて、白斑?改善が困難な瘢痕、難治性皮膚潰瘍に対して培養表皮移植を行い、その有用性を発表してきました。
さらに、尋常性白斑に対するメラノサイトを保持した培養表皮移植の企業治験にも治験調整医師として参加し培養表皮移植の安全性?有効性を検討しています。
(文責:鳥山 和宏(教授))